炎柱・煉獄杏寿郎は決して登場場面が多かったキャラではありません。
ですが、上弦の参・猗窩座との戦いでこの世を去った後も人の心に生き続けている、まさに、炭治郎、伊之助、善逸のアニキ的存在です。
そんな炎柱・煉獄杏寿郎のキャラ考察をしてみましょう。
アニキ的存在の「煉獄杏寿郎」
炭治郎が無限城で再会した猗窩座に言った「強い者は弱い者を助け守る そして弱い者は強くなり また自分より弱い者を助け守る これが自然の摂理だ」 という言葉には、まさに無限列車で乗客や炭治郎、伊之助、善逸を守り抜いた煉獄さんの姿が重なります。
煉獄さんの「そして君達が鬼滅隊を支える柱となるのだ」という最後の言葉は、当時まだ駆け出しの剣士だった炭治郎、伊之助、善逸に大きな影響を与えました。
煉獄さんの訃報を受けた柱たちも彼の死に心を痛めていましたし、刀鍛冶の里で煉獄さんの形見の鍔を目にした無一郎が涙をにじませていたことからも、煉獄さんの人望の厚さが伺えます。
そんな頼もしい煉獄さんを慕う者は作中だけにとどまりません。明朗活発な性格、剣士としてのまっすぐな生き様、後輩隊士に気配りを忘れない姿勢から、ファンの間では「アニキ」と呼ばれ愛され続けています。

[surfing_su_box_ex title=”煉獄杏寿郎プロフィール” box_color=”#99ccff”]
・名前:煉獄杏寿郎(れんごくきょうじゅろう)
・年齢:20歳
・特徴:ぐりぐりした瞳、炎柄の羽織
・出身地:東京府荏原郡駒沢村(世田谷区桜新町)
・公式人気投票:7位
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無限列車で夢を見ない煉獄さん
無限列車編に登場した下弦の壱・魘夢(えんむ)能力は「幸せな夢を見せて、夢の中に人々を閉じ込める」というものでした。
ところが煉獄さんだけは、炎柱になった報告を父にしたけれど喜んでもらえなかったという内容でした。なぜか煉獄さんだけは悲しい過去の記憶を夢に見ていたのです。
ではなぜ煉獄さんだけが例外だったのでしょうか。その理由には煉獄さんの性格や考え方が大きく関わっていると推測できます。
母は早くに亡くなり、尊敬する父が急に活力を失ってしまうなど、彼はこれまでに何度も寂しさを味わってきました。それでも煉獄さんは、そのために現実を正面から受け止め、前へ進んできたのです。
弟の千寿郎に告げた「頑張って生きていこう!寂しくとも!」という言葉は煉獄さん自身の経験に基づいた言葉なのでしょう。
世の中は自分の思い通りにはいかない、そのことを知っている煉獄さんは情熱家の反面、悲しいほどのリアリストでもあります。彼の名言の一つである「老いることも死ぬことも 人間という儚い生き物の美しさだ」というセリフからも煉獄さんの死生観が伺えます。
「あの時こうしていれば」という後悔の念や「こうなったらいいのに」という願望は誰もが多かれ少なかれ抱えています。ただし、普段から現実をきちんと見据え、過去を振り返らない性格の煉獄さんには幸せな夢を見せるという妖の効果が効きにくかったのではないでしょうか。
煉獄杏寿郎の「炎の呼吸」
煉獄杏寿郎が使う炎の呼吸からは、近距離、遠距離、縦横の動きなど、とてもバランスの良い型である印象を受けます。
煉獄さんは炎の渦で広範囲を攻撃できる「肆ノ型・盛炎のうねり」で猗窩座の出方を伺った後、タイミングを見計らって間合いを詰めてから「伍ノ型・炎虎」を繰り出しています。
炎虎はその名の通り虎が林を上げて相手に襲い掛かるような描写がなされており、相手の高さある攻撃に対抗できる技だと言えるでしょう。
また、戦闘中の煉獄さんは腕の立つ剣士であるのと同時に、優秀な指揮官でもあります。
即座に状況を把握して人員を振り分けたり、的確な指示を出すといった行動に加え、 炭治郎に呼吸による止血指導を行うなど、戦闘中でも後輩育成もこなせる万能なリーダーと言えるでしょう。
奥義 玖ノ型・煉獄

猗窩座との死闘の末、煉獄さんが最後に繰り出したのは奥義「玖ノ型・煉獄」でした。刀を肩に担いだ状態から螺旋状の炎を伴う突進技で、煉獄さんは相打ちに持ち込みついに猗窩座をとらえます。
煉獄さんが”奥義”と呼んでいること、そして”煉獄”という技名から察するに、この玖ノ型は煉獄卿の人間だけが使える技なのかもしれません。
炎の呼吸の使い手は他にも存在しているはずですが、玖ノ型に限っては炎柱を代々継承してきた煉獄家の人間だけが使用できる秘伝の技である可能性が高そうです。また、”奥義”と呼んでいるくらいですから、玖ノ型は他の方に比べて難易度が高いと推測できます。
煉獄さんはかつて炎柱であった父・ 槇寿郎(しんじゅろう)から直々に稽古をつけてもらっていましたが、父が突然頭を引退して以降は独学で鍛錬に励んできました。とすれば、煉獄さんは独学で玖ノ型を身につけたのかもしれません。
煉獄さんが指南書を読みながら鍛錬に励んでいたのは、大体煉獄家に伝わる奥義を会得するためだったのではないでしょうか。
煉獄さんに継子がいない理由
公式ファンブックによると煉獄さんに継子がいなかった理由は「稽古が辛すぎて、みんな逃げたから」とのこと。しかし、他にも要因があったのではないでしょうか。
煉獄さんが弟・千寿郎に当てた遺言は、自分の心のまま正しいと思う道を進んでほしいという内容でした。煉獄さんは千寿郎だけでなく誰に対しても「自分の心のままに生きてほしい」と願っていたとも考えられます。
過去に煉獄さんの継子だった甘露寺が「恋の呼吸」を生み出せたのも、煉獄さんが甘露寺の個性を尊重したからに違いありません。
煉獄さんは炎柱継承者の育成目的ではなく「己にあった剣の道を見つけてほしい」という思いで継子を取っていたのかもしれません。

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