香川県が進めていたゲーム依存症対策のため「ゲームは1日60分」とするネット・ゲーム依存症対策条例が可決され、2020年4月の施行される見通しです。
このゲーム規制条例に県内外から賛否の声が多数寄せられ大きな話題になっています。
ゲームは1日60分?
香川県議会が進めてきた「ネット・ゲーム依存症対策条例」が可決され、2020年4月から施行される予定です。
これはネットゲーム依存症の対策として条例ですが、その内容に子供のスマートフォン使用等の制限で「18歳未満の依存症につながるようなコンピューターゲームの利用は1日60分(休日90分)を上限とする」といった内容が含まれており、県内外から賛否の声が上がっていました。
県議会は、全国に先駆けて制定を目指す、ゲームやインターネットの依存症対策に関する条例案を検討する委員会を開き、県民からの賛成意見が多かったことを踏まえて今月18日に採決する方針を確認しました。
出典:NHK NEWS WEB
ネット・ゲーム依存症対策条例に意見を寄せた県民2613人のうち 賛成は2268人、反対は333人 。また、意見を寄せた県内外の73の団体と事業者のうち賛成は1団体、反対した団体や事業者は68とのことです。
今回の可決に対し香川県議会は「県民から賛成が多かったのはゲームやネットを使う子どもたちの現状を見ている保護者の意見が反映された結果と受けとめている」と話しているそうです。
ネットの反応は?
香川県のゲーム規制条例可決のニュースを見たネットの反応を見てみましょう。
香川県のゲーム規制条例のパブコメ、2268人の賛成というのは明らかにおかしい。中央官庁でもパブコメが1,000件超えることはまずない。反対333人どころか総数300件でも尋常じゃないくらい多いのに、2268人が賛成というのは人口100万人もない香川県で出る数字ではない。https://t.co/9QjttulMuG
— 未識魚 /中川譲 @ C98 5/4(月)西M18a (@mishiki) March 12, 2020
こりゃほぼ間違いなく組織的に県内の団体に手を回して賛成のパブコメを書かせたんだろうなぁ。でないと県内外の団体からは反対ばかりになる結果と合わない。そこまでやるのかよと、かなり唖然とする。
>ゲーム条例案 18日に採決確認|NHK 香川県のニュース https://t.co/kEUZvdZJSt— 小泉しゅうすけ(寒川町議会議員@立憲民主党) (@KoizumiSamukawa) March 12, 2020
ゲーム条例案 県民から賛成9割|NHK 香川県のニュース https://t.co/uEO6toNYsD 独裁国家の選挙で99%得票するのと同じような仕込みをこの日本で見られるとは。うどん帝国恐ろしい…
— JSF (@rockfish31) March 12, 2020
本当に最近のゲーム規制の流れや香川県の条例の話見てると勉強する気力が削られる…
誰にも言ってもないけど、私の大学での専攻は生体工学です。笑われそうですが、真剣にVRのフルダイブのネトゲを開発するために勉強してます
eスポーツなどが普及すれば引きこもりも社会参加できると思ったのに…
— カイのオタク文化・問題ラボ【⋈】ゲーム規制反対 (@kai_anime6420) March 12, 2020
ゲーム規制の条例自体はもちろんですが、香川県議会が開示したパブリックコメントの信ぴょう性を疑う声が多数ありました。
今回の条例可決に至るまでには、ゲームなどの基準は家庭が決めるもので行政がとやかく言うものではないという批判が香川県内でも多く、香川県に住む高校2年生はネットで集めた約600名の署名を県議会に提出しています。
また、依存症の専門家からは「時間制限では解決しない」「60分という根拠がない」といった指摘もありました。
ゲーム依存障害とは?
ネット・ゲーム依存症対策条例が制定されるきっかけとなった「ゲーム依存障害」とは、どうゆうものなのでしょうか?
まず、2019年にWHO(世界保健機構)が「ゲーム障害」を疾病に認定したことから「こども外来」を開設する病院も増えており、中高生を中心に受診する子供が増えている実態があります。
重症の子供は学校に復帰することが難しく、ゲーム中心の生活が何カ月も続いているようです。
また、自宅は家族と別々の生活をしている”シェアハウス状態”になっており、家族からしたらどのような生活をしているのか見えない恐ろしさがあるので、本人より家族が疲弊して”うつ状態”になっているケースもあるようです。
ゲーム時間の上限は決めるべきか?
小学生以下の子を持つ親1178人を対象に行った「ゲーム時間の上限を決めることの賛否」を聞いたアンケート調査では次のような結果も出ています。(※ほけんROOM調べ)
- 良い 27.6%
- どちらかと言えば良い 22.2%
- どちらかと言えば良くない 14%
- 良くない 11%
- どちらとも言えば位 25%
賛成には「条例で決まれば家庭で注意しやすい」「ゲーム依存は県や国を挙げて対策すべき」などの意見があり、反対には「行政が決めることではない」「ゲームも職業になる時代」といった意見があったそうです。
また、香川県の市内3つの中学校に通う生徒を集めた中学生総合教育会議では「スマホ・ゲームの使い方」をテーマにした話し合いが行われ、学校内でのアンケート結果が発表され「ゲームの使い方についてルールを決めているか」という質問には、約60%が「はい」、約40%が「いいえ」と回答していました。
将来の夢の第2位は「プロゲーマー」
eスポーツは、2019年の茨城国体で初めて採用されるほど大きな盛り上がりを見せています。
また、ソニー生命保険が中高生1,000人を対象に行ったアンケート調査では、男子中学生の将来の夢は、1位「YouTuberなどの動画投稿者(30%)」「プロeスポーツプレイヤー(23%)」「ゲームクリエイター(19%)」「ITエンジニア・プログラマー(16%)」「社長などの会社経営者・起業家(14%)」がトップ5に入っています。
世界と比較して日本のeスポーツの認識はいまだに低いのが現状ですが、eスポーツの競技人口は1億人以上と言われており、バスケットボール(4億5千万)、サッカー(2億5千万)、クリケッツ(1億位5千万)に続く競技人口の多さを誇っています。
eスポーツのメジャー大会での優勝賞金も跳ねあがり、多額の契約金でプロeスポーツプレイヤーを獲得する企業も急増しています。
こうした時代のなか、行政が「(個人の)ゲーム時間を制限する」といった条例を決めたことを疑問視するのは当然のことだと言えるでしょう。
ゲーム依存症から脱却するためには、安易に「ゲーム時間を規制」するのではなく、eスポーツを通して世界で活躍できるプロゲーマーを育成するなどの対策を考えることも大切です。
また、ゲームを規制する動きは香川県に限らず、全国にも波及する可能性もありそうです。
ゲーム規制の問題、香川県だけだと思ってたら秋田県にも波及、更には文科省も悪意があるとしか考えられないパンフレットを作成し、高校生に配る予定だったとのこと。
山田太郎議員が抗議して、現在は文科省と議論中。
文科省は行動嗜癖と依存症を一緒くたで考えている説がありそう… pic.twitter.com/gN3lmI9u24— 青い隕石⋈ (@ootani110isida) March 8, 2020
今回のような条例が全国に広がることは、子供たちの夢を奪うばかりか、これまで世界に対して多くのゲームコンテンツを発信してきた日本を没落させることになるかもしれません。
まとめ
香川県が可決したネット・ゲーム依存症対策条例に罰則はなく、ゲーム時間の上限はあくまで基準としているそうです。
とはいえ、行政が家庭のルールまで基準を定めることは多くの人から反発を買うのは当然のことではないでしょうか?
自分の未来は自分で決めたいものです。
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